インプラント治療は「自分の歯のように噛める」選択肢としてよく選ばれています。しかし、上顎奥歯の部分は骨が薄く、インプラントをそのまま埋入できない場合が多く見られます。その際に必要となるのが「上顎洞底挙上術(じょうがくどうていきょじょうじゅつ)」であり、大きく「サイナスリフト」と「ソケットリフト」に分けられます。本記事では、それぞれの術式の違いや手術の流れ、術後の注意点(食事・腫れ・痛みへの対応)、治療期間などについて詳しく解説します。
1. 上顎洞底挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)とは?
1-1 サイナスリフトとは?その目的と適応
サイナスリフトとは、上顎奥歯の上にある「上顎洞(空洞部分)」の粘膜を持ち上げ、その下に人工骨などを移植して骨の高さを確保する手術です。骨の高さが4mm未満と大きく不足している場合に適応されることが多く、インプラント治療を諦めざるを得なかったケースでも可能にする方法です。手術は歯ぐきの側面から小窓を開けて行うため、比較的外科的な侵襲は大きめですが、その分大きな骨造成ができるのが特徴です。長期間しっかりインプラントを支えるために欠かせない術式といえるでしょう。
1-2 ソケットリフトとは?適応条件とサイナスリフトとの違い
ソケットリフトは、インプラントを埋め込む穴から専用の器具を使い、上顎洞の底部を少し押し上げて人工骨を補填する方法です。骨の高さが5~7mm程度残っている場合に適応され、サイナスリフトに比べると手術の負担は軽く、腫れや痛みも比較的少ない傾向にあります。治療期間も短縮できる場合があり、日常生活への影響を最小限にしたい方に向いています。ただし、大きな骨造成には向かず、あくまで「少し足りない骨を補う」イメージです。サイナスリフトと比較して、骨量や治療計画に応じて使い分けられます。
2. 各術式の流れ
2-1 サイナスリフトの手順(ラテラルアプローチの流れ)
サイナスリフトでは、まず局所麻酔を行った後に歯ぐきを切開し、上顎骨の側面に小さな窓を作ります。その窓から上顎洞の粘膜を慎重に剥離して持ち上げ、できたスペースに人工骨を補填して縫合します。骨が定着するまでに半年ほどかかることが多く、その後にインプラント体を埋め込みます。骨の不足が大きい方でも治療が可能になるのが利点ですが、術後の腫れや違和感は数日~1週間ほど続く場合があります。
2-2 ソケットリフトの手順(クレスタルアプローチの流れ)
ソケットリフトは、インプラント埋入用の穴から専用器具で少しずつ粘膜を押し上げ、その下に人工骨を補填する方法です。骨がある程度残っている場合に用いられるため、手術時間は1時間程度と比較的短く、患者さまの負担も少ないのが特徴です。多くの場合、インプラント体を同時に埋め込むことができるため、治療期間の短縮につながります。術後の腫れや痛みも軽度にとどまることが多いとされています。
2-3 サイナスリフトとソケットリフトの比較
両術式を比較すると以下のようになります。
患者さまの骨の状態や希望に応じて、適切な術式を選択することが大切です。
3.新しい選択肢『デンサーバー』を使用した上顎洞底挙上について
3-1 デンサーバーとは?
デンサーバーとは、インプラント治療における骨造成を補助する特殊な器具の一つです。従来のドリルとは異なり、骨を削り取るのではなく「圧縮して密度を高める」働きを持っています。これにより骨質を強化しながら、同時に上顎洞底(サイナスフロア)を少しずつ押し上げることが可能です。骨がある程度残っているケースに適しており、ソケットリフトの一種として位置づけられます。
3-2 デンサーバーによる上顎洞挙上の特徴
デンサーバーを使用する最大の利点は、骨の質を高めながら安全に上顎洞底を押し上げられる点です。従来の方法では骨を削って拡大するため骨量のロスがありましたが、デンサーバーは骨を圧縮して密度を高めるため、インプラントの初期固定性(安定性)が高まりやすくなります。術後の腫れや痛みも軽減されやすく、患者さんの負担を抑えられるのが特徴です。
3-3 適応症と注意点
デンサーバーを用いた挙上は、残存骨の高さが5mm前後ある症例で特に有効です。ただし、大きく骨が不足している場合は従来のサイナスリフトが必要になります。また、操作には熟練が求められるため、経験豊富な歯科医師が適応を正しく判断することが重要です。筆者の岡田の経験では、デンサーバーを用いてインプラントをした場合、自分の骨で上顎洞を挙上しているため安定が非常に良く、術後数ヶ月のレントゲンでも本来なかったところに骨ができていることが確認できました。スター歯科クリニックでは、骨の状態や全身の健康状態をしっかり確認したうえで最適な方法をご提案しています。
4. 術後の注意点と生活上の工夫
4-1 食事について(術後の飲食注意点)
手術後は患部に負担をかけない食事が基本です。やわらかい食べ物(おかゆ、スープ、ヨーグルトなど)を中心に摂取し、硬いものや粘着性の強いものは避けてください。また、ストローを使った飲み物は上顎洞に陰圧をかけるためNGです。噛む力を必要とする食事は治癒が進むにつれて段階的に戻していくのが安心です。
4-2 腫れ・痛みへの対応(ピーク時期とセルフケア)
術後は腫れや痛みが出るのが一般的で、サイナスリフトでは特に2~3日目がピークとなります。冷却パックを使って腫れを和らげ、処方された鎮痛薬を正しく服用することが大切です。1週間程度で徐々に改善しますが、痛みや腫れが強く長引く場合は感染などの可能性もあるため、早めに歯科医院へご相談ください。
4-3 その他の注意点(鼻・運動・喫煙など)
鼻を強くかむ、うつぶせ寝をする、激しい運動を行うと、移植骨や粘膜に負担がかかり治癒が遅れる可能性があります。特に喫煙は血流を妨げ、治癒不良や感染リスクを高めるため、手術後は控えることを強く推奨します。飛行機や高地への移動も気圧の変化によって影響する場合があるため、旅行予定がある方は事前に医師に相談してください。
5. リスク・合併症と予防
5-1 起こりやすい合併症
代表的なリスクは「上顎洞粘膜の穿孔」「感染」「副鼻腔炎」「内出血」などです。多くは適切な処置で改善しますが、放置すると治療のやり直しが必要になることもあります。
5-2 合併症を避けるための術前・術後管理
リスクを最小限に抑えるには、術前のCT撮影で骨や上顎洞の状態を正しく把握すること、術後は指示通り安静に過ごすことが重要です。術後フォローを欠かさず受けることで、万一のトラブルも早期に発見できます。
6. 治療の期間・選び方の目安
6-1 治療期間の目安
サイナスリフトは骨の定着に半年~1年を要することが多く、長期的な治療計画が必要です。一方、ソケットリフトは同時にインプラントを埋め込める場合もあり、数か月で治療が完了するケースもあります。
6-2 適切な術式の選び方
骨の状態や生活スタイルによって適した方法は異なります。「早く治療を終えたい」「身体的な負担を減らしたい」という方はソケットリフトが適していますが、骨が大きく不足している場合はサイナスリフトが必要です。
7. スター歯科クリニックの特徴と安心できるポイント
7-1 個室診療で安心の治療空間
スター歯科クリニックでは、すべての診療室を完全個室として設計。周囲の視線や声を気にせず治療に専念できるため、歯科医院が苦手な方でも安心です。
7-2 痛みに配慮した治療
表面麻酔や極細針を使用し、さらに希望があれば静脈内鎮静法にも対応。できる限り痛みや不安を軽減する体制を整えています。
7-3 術後の不安もサポート
垂水院・明石駅前院・西宮北口駅前院の3院で一貫したフォローを行い、カルテを共有。転勤などで担当医が変わっても安心して通院できる仕組みを整えています。
まとめ
上顎洞挙上術は、骨が不足している上顎奥歯にインプラントを可能にする重要な手術です。サイナスリフトとソケットリフトには適応条件や治療期間に違いがあり、患者さまの骨の状態や生活スタイルに合わせた選択が必要です。術後の食事・腫れ・痛みへの注意、合併症予防のためのフォローも欠かせません。スター歯科クリニックでは、個室診療・痛みに配慮した治療・複数医院での術後フォロー体制を整え、患者さまに安心のインプラント治療を提供しています。
兵庫県内に3医院(垂水院、明石駅前院、西宮北口駅前院)
スター歯科クリニックは、兵庫県内に3つの医院があります。いずれもアクセスの良い立地にあり、地域に根ざした歯科医療を提供しています。お住まいの地域に近い医院で、安心して継続的に通院できる体制が整っています。
安心のインプラント保証制度で長く快適に
スター歯科クリニックでは、インプラント体は一生涯保証、上部構造は5年保証の安心制度をご用意しています。これは「治療後も安心して長く使いたい」という多くの患者様の声にお応えするための取り組みです。
保証の対象となるのは、3~4ヶ月ごとの定期メンテナンスの継続や、噛み合わせに応じたマウスピースの使用、適切なブラッシングによる口腔ケアの実施など、いくつかの術後管理を守っていただける方です。
また、治療前には保証内容を含めた丁寧なご説明の機会を必ず設けておりますので、不明点やご不安があればお気軽にご相談ください。治療後も長く快適にインプラントを使っていただけるよう、万全のサポート体制でお迎えいたします。
「インプラントは不安」「高いのでは?」と感じていらっしゃる方も、まずは無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。スター歯科クリニックでは、ドクターによる丁寧な説明と、最新設備による安全な治療環境を整えてお待ちしております。
さらに詳しく内容を知りたい方はこちらのリンクをクリックしてください。
https://www.star-dental-nishinomiya.com/menu/implant/
スター歯科クリニック西宮北口駅前院
歯科医師 岡田 雅弘 執筆